【印刷】紙屋が教える初心者のための簡単な紙選びのポイント!
いつの間にか「普通のOLさん」と化している事実がまだ受け入れられない、くりんです。
AB型魂に火がついた。「普通」が苦痛!!
そんな日々をあと313日(仮)で打破しようとするブロクです。
紙屋に勤めて6年目になります。くりんです。
先日こんなツイートを目にしました
イケハヤさん名刺捨てちゃうんですね…(´;ω;`)
わかってるよ…不要なのも分かっているのだけどね…
でも、ネット社会では絶対に感じられない価値があるはずなのです…!
仕事内容を書くの、どうしようか悩んでたんですが…(身バレ怖い)
これから紙で何かを作りたいと思っている方のお手伝いがしたい…
そう思って「紙」についても、お伝えしていきたいと思います…!
ご相談に来られる一般のお客様方とのお話の中で、私が感じたことをベースに
- 何から始めていいかわからない人向けに
- とにかくめっちゃ簡単な表現で
- 私もやってみようかな…と思ってもらえるように
書いていきたいと思っています。
<注意>くりんがお伝えできること
「特殊紙」が得意です。(色のついた紙や、ザラザラ、キラキラ、ツルツルした紙など、面白くてキレイな紙)
私の専門分野はあくまで「紙」です。超「紙」目線で書きます。
加工についても「超初心者さん」に「ざっくり」知っておいてほしい内容です。
加工目線で本格的興味を持たれた方は、加工会社さんにお問い合わせください。
まずは、ご質問件数ナンバーワン
「印刷したい」について、紙選びのポイントをご紹介します。
『印刷したいんですけど、どんな紙が向いていますか?』
まずは、どうやって作るかを決めよう!
印刷したい!と思った時、あなたはどういう方法をとりますか?
- 印刷会社さんにお願いされますか?
- ご自分で印刷しますか?
印刷会社さんにお願いするメリット
主な印刷方法…オフセット印刷、オンデマンド印刷など
- 綺麗に印刷できる!
- 難しい手間無し!
印刷会社さんにお願いするデメリット
- やりとりが面倒
- 紙がたくさん選べない
これは紙好きとしては死活問題です……
印刷会社さんは注文後すぐに印刷に取りかかれるように、紙を仕入れて保管(在庫)されています。
世の中の市場にある何千種類という紙の中で、印刷会社さんが決まって仕入れておられるのは基本的に数十種類です。(印刷会社さんは紙屋じゃないからね)
お願いする印刷会社さんが決まったら、「どんな紙の取り扱いがあるか」を必ずチェックしてください。
在庫されている紙は、基本的には印刷会社さんの印刷しなれた「得意な紙」です。
非在庫品の紙でも取り寄せて扱ってもらえるところは無くはないと思いますが、「苦手な紙」や「印刷技術を要する質感の紙」を選んでしまうと、品質は保証できません。
在庫品以外の紙を選んだ場合は、印刷実績があるかを確認されると良いと思います。
自分で印刷するメリット
主な印刷方法…家庭用プリンター、店頭セルフコピー
- 紙がたくさん選べる!わーい
自分で印刷するデメリット
- クオリティが低い
- 手間めっちゃかかる
以外と誤解されているのが、安くできる。と思われてるところです。
もちろん1部、2部作るのには自分で作った方が圧倒的に安い。
しかし、紙を買ってくる手間もかかります。
10、20の数にもなると、好きな大きさにカットするにも一苦労。
製本なんかはデータの作り方も初心者には難しいです。
ご予算や、作業にかけられる時間と相談して決めて下さいね。
次に、印刷方法を決めよう!
今回は主に4種類ご紹介します。
オフセット印刷
印刷仕上がりが綺麗!プロ仕様。
いわゆる本屋さんに並ぶ書籍や、市販のポストカード、パッケージなどなど
市場に流通するものは、ほとんどオフセット印刷です。
制作物にもよりますが、一気に1000以上とかを作りたい人、その後も繰り返し印刷する前提の方。とにかく大量に印刷する方向けです。
「版」を作る必要があるので、初期費用として「版代」がかかります。
たくさん作れば作るほど、1部の単価は下がりますが、初めての方にはハードルが高いので、他の方法を検討されるのが良いかと。
オンデマンド印刷
粉状のインク(トナー)に熱を加えて固めているイメージ。
オフィスやコンビニのコピー機と同じ印刷方法です。出来立てのコピーって、あったかくないですか?インクを定着させるのに熱を加えているからです。
オフセット印刷の綺麗さには断然負けますが、近年は印刷機の性能が上がっていて仕上がりも綺麗です。
オンデマンド印刷と違い、「版」を作らないので「版代」もかかりません。
少量〜中量向け。特に100ぐらいからの数でお考えの方には、自分で印刷する手間を考えると、印刷会社さんにお願いするオンデマンド印刷がオススメです。
インクジェット印刷
ご家庭のプリンターは、ほぼコレ。(大判ポスター印刷など印刷会社さんにお願いする方法もあります。)
一番身近で、とっつきやすい分、印刷仕上がりは妥協が必要です。
「にじみ」はどうしても付きもの。印刷量が多ければ多いほど、インキ代や印刷時間はかかります。
超少量の印刷や、サンプル製作などにオススメです。
活版印刷
昔からある印刷方法ですが、近年見直され、いま最も注目度が高い印刷方法。
イメージとしては、ハンコを作って、それをギュ〜〜〜〜っと紙に押しつけます。
印刷したところが凹んで、味のある仕上がりになります。
写真のようなフルカラー印刷は不可能です。(単色カラーは可)
インキのかすれや、凹み具合も味があっていい!ちょっと変わった印刷にしたい!という人にオススメ。
印刷方法ごとに紙を選ぼう!
はい、難しい印刷のお話お疲れ様でした!
わ〜〜〜〜い!やっと紙を選びます!
しかし、ちょっと待ってください。
大切なお話があります。
市場には何千種類という紙が流通しておりますが、そのほとんどが
オフセット印刷用です。
オンデマンド印刷、インクジェット印刷の専用紙をください
というお問い合わせをいただきます。
が、ごめんなさい「専用」はほとんどありません。(無くは無いですが)
しかし、必ずしも「専用紙でないと印刷できない」というわけではないので、ご安心を。
ここまでお読みいただいた方は、きっと最適の紙が選べます。
オフセット印刷に適した紙の選び方
市場に流通する紙のほとんどオフセット印刷を前提にしてますので、あまり悩む必要はありません。
が、表面がツルツルしていたり、キラキラしていたり、表面が特殊な紙は、インキが乾きにくいなど印刷が難しい場合があります。印刷会社さんと要相談。
逆に数少ない「レーザープリンタ専用紙」とか「インクジェット専用紙」は選ばないでくださいね。
オンデマンド印刷に適した紙の選び方
印刷方法の部分で少し述べましたが「粉状のインク」を使用しています。
あまり表面が凸凹した紙を選ぶと、凹んだ部分に粉インクがうまく入りきらず、定着不良を起こします。
できるだけ、紙の表面が平滑な紙(ツヤツヤ、サラサラの紙)を選んでください。
印刷を印刷会社さんに頼む場合は、おそらく取り扱いの紙が「オンデマンド印刷に適したツヤサラ紙」ばかりです。
もっと好きな紙を使用したい、「キンコーズ」などセルフ印刷に紙を持ち込んで印刷したい!という場合、凸凹の紙も印刷できなくはないですが、印刷品質は妥協してください。
最悪の場合、印刷面をこするとインキがポロポロ剥がれる可能性がありますのでご注意を!
セルフ印刷などで紙を持ち込む場合は、紙の厚みも注意です!
お店の方に「お店の機械で印刷可能な紙厚」のご確認を!厚すぎ、薄すぎは印刷できない可能性があります!
インクジェット印刷に適した紙の選び方
最大のポイントは「インクが乾くかどうか」です。
オンデマンド印刷と逆で、ツヤツヤ・サラサラの紙を選んでしまうと、インクが紙の繊維に染み込みません。
どちらかというと、ザラザラと手触り感のある紙や、凸凹した紙が向いています。
ただし、繊維質すぎる紙を選ぶと、細かい繊維に沿ってインクが広がっていく場合もあります。(目を凝らして見るとわかる程度)
お家にプリンターがあれば気軽に試せるので、まずはテストしてみるのが良いかもしれません。
紙の厚みは、薄すぎると中でヨレる可能性があります。
裏写りにも注意です。
また、ご家庭のプリンターは「上から紙を差し込むタイプ」ですか?「カセットトレイに紙を入れるタイプ」ですか?
どちらにせよ、厚すぎる紙は通らない可能性がありますが、どちらかというと「上から差し込むタイプ」の方が通りやすいです。
説明書には「使用できる紙の厚み」が書かれてありますので、それ以外の厚みを使用される場合は自己責任でお願いします。
活版印刷に適した紙の選び方
活版印刷の魅力は「印刷した部分が凹む」というところです。
ですので「凹みやすい紙」「凹んだところがわかりやすい紙」がオススメ。
具体的にはコットン配合紙など「柔らかい紙」、そして「厚みのある紙」です。
凸凹した紙は、版を押した時に圧が均一にかからず、細かい文字などが上手く印刷できない可能性があります。
ただ、ムラやかすれ具合も「味」と捉えてしまうところがあるので、こ自身の表現したい品質で、印刷会社を吟味する必要があるかもしれません。
紙のご相談お気軽にどうぞ
印刷のことなど、調べても専門の用語が多くて難しいですよね。
しかも「印刷好き」なんて聞いたことないのに、圧倒的に印刷知識の方がたくさん出てくるのです……なんでや。
私も物を作るのが好きなので、物を作る事に関われたらな〜、と思って紙屋に入社しました。
物を作る人のためになれたら。
会社辞めたいとか言ってるけど、それは今も変わりません。
紙素材のことでお困りでしたら、ぜひお声かけください!
初歩の初歩な話でも大丈夫です。
専門外でお答えできないこともありますが…
答えを見つけられるキッカケになれれば嬉しいです!